紙の上に対話を生む—界遊 01 創刊

界遊 01 「特集:散文」 ¥800

 様々な形態の文芸誌が充実してきたのを感じる、最近ですが、また新しい文芸系の本が登場です。
 創刊にあたっての言葉を引用しますと—-
 表現すること、それは本来「対話」的なものだったはずです。しかし私たちが見聞きする表現は、ことばは、読者の私たちの生活とは遠いどこかで、行なわれているような悲しい錯覚を抱かせてきました。(中略)今、劣勢だと考えられている紙という媒体で、はき捨てられない物質として、「対話」を記録したい。ジャンルや書き手の種別を越えた、豊かで能動的なことばのあり方を追求したい。そんな欲求から我々は『界遊』を立ち上げました。
 ということで、対話の場のような雑誌です。
内容は—–
特集〈散文〉
○トークイベント「ゼロからはじめる『文学』あるいは『小説』」
 田中和生(文芸評論家)×仲俣暁生(批評家/編集者)
「小説は小説家にしかわからない」論争とは一体なんだったのか? 「文学」と「小説」を分けるものとは? 散文と韻文のカテゴリと文芸空間の「いま」を覆う「閉塞感」を越え、豊かなことばのあり方を探るべく行われたトークイベントを一挙収録。
○『稲茂デレダの独り言 〜稲茂S Nデレダの述懐〜』
どうしようもなく愛すべき物語が、この「閉塞感」発生の根源だとしたら……。高橋源一郎のデビュー作『さようなら、ギャングたち』に立ち返り、作品解釈から新たな地平を提示する、脳内シャッフル批評対談!
特集〈韻文〉
○歌集喫茶『うたたね』に行ってみた
もっと気軽に短歌に触れて欲しい、と歌人である天野慶、村田馨によって始められたイベント「歌集喫茶うたたね」。その第3回目「歌集喫茶うたたね in loftwork GROUND」に界遊制作委員4人が参加した。普段短歌を読まない・詠まない者から、俳句を嗜む者までの4パターンのレポートから、新しい座の文学の面白みを探る。また、歌人集団「かばん」に所属していたこともある武田俊による、天野慶×加藤千恵によるトークイベント評も掲載。
創作
○詩人、小林レントによる書き下ろし新作や、佐々木敦編集『エクス・ポ』にて短歌漫画「アンドハニー」を連載中の漫画家/歌人のスズキロクの短歌漫画を始め、小説、詩、短歌、俳句など幅広いジャンルを集めた。
○またその他にも、街頭インタビュー、クロスレビュー、ライブレポなどの企画を掲載。
B5判126P