市場大介『METHYLETHYLKETONEPEROXIDE(メチルエチルケトンパーオキサイド)』 ¥1000
この秋にはオランダでの展示も予定され、ヨーロッパ各地からの出版オファーも相次ぎ、世界に羽ばたく市場大介画伯のモノクロ漫画集。
タイトルのメチルエチルケトンパーオキサイドとは、薄めて塗料のトップコートとして鉄板に塗装することで、硬化するとすばらしい塗装ができるが、時々硬化不良をおこし、いつまでも乾かずベタつくうえ、可燃性の物質ゆえに強い衝撃や日光で分解し、発火する恐れもある危険物。適当にほったらかしておくと勝手に爆発災害を起こすこともあるとても迷惑なブツだそう。
数十の新キャラたちが入り混じり登場し、ストーリーも市場画伯自身の夢か現か…の断片と絡み合って、混沌を極めています。ところどころに見開きの一枚画も入り、世界で活躍するようになった市場画伯の真骨頂が発揮されています。
ご本人によれが「混沌重ね着漫画概念ぶち壊し最終型作品」で、これを最後にもう自主制作本は作らないつもりとか。
タコシェが開店して間もない頃に「37才落し子 小百合編」を納品していただいてから、幾星霜。途中、印刷屋さんに気持ち悪くて刷れないとまで言われたこともある市場作品が、海外でも印刷され人気を博す今、里程標のように放たれた作品集。どうぞ、お早めに。
※当初の説明に、間違いがありました。既刊に登場したキャラも登場するように記述してしまいましたが、今回の作品は、主人公以外はこれまでのキャラクターを用いずに、描きながら即興的に作りあげるというコンセプトを実践したものですので、訂正し、お詫び申し上げます。
B5判96P