Cirque TZARA no.2 ¥700
トリスタン・ツァラについてのアンソロジーですが、文学やダダイズムの研究にとどまらず、ツァラを糸口に様々な表現を考察しようという冊子です。
日本におけるツァラ研究第一人者、大平具彦(北海道大学教授)による新訳『心の運行時刻表』とエッセイ
中沢新一(芸術人類学研究所長、多摩美術大学教授)のエッセイ「頭上のコン―ツァラの詩法と神話思考―」では、ツァラがエルンストについて書いた文章『マックス・エルンストとイマージュの裏返し』、およびマン・レイのファッション写真について書いた『個人的好みとある種のオートマチスムについて』を軸に、ツァラの詩法をレヴィ・ストロースの神話公式と結びつけ、ダダの詩、特にツァラの詩が、人類学的にどれほどの創造性と重要性を持っていたかを説明。
築野友衣子「癩と結晶のプリズム ―ツァラアトによるツァラ試論―」では、聖書の「重い皮膚病がツァラアト」であることから、ダダ期の有名な詩「風景の癩を病む白い巨人」が何を表していたかを、後年の作品『種子と表皮』に描かれたイメージを参考に分析。
若手ホープ山本桜子のよる本邦初全訳の演劇作品『雲のハンカチ』とこれにまつわる恋愛譚エッセイ、実際にこの作品を上演した安武剛の「『雲のハンカチ』と演劇人ツァラ」などなど。
B5判48P