『謄写技法 別輯 ガリ版刷春本編』 ¥4200
昭和50年頃まで、学校や職場など身近で使われていた、いわゆるガリ版印刷。学級文集を作ったりするのに、石板を下敷きに鉄筆でもって半透明の用紙に間違わないように気をつけて清書しましたね!(お子様にはわかるまい)
阪本秀童さんは、かつて本や雑誌として、あるいは官公庁や学校、会社やお店の冊子など様々な形で出まわった謄写印刷物を研究しつつ、自ら鉄筆を握り、個人誌『謄写技法』上で、コピー&リミックスし、謄写印刷にまつわるエッセイをおりまぜながら、緻密で美しい紙面そのもので、謄写技法のを実践&紹介をしています。(その仕事は『銀花』『本とコンピュータ』などで大きく紹介されました。)
そして、このたび、約5年ぶりに新刊が出ました!まず、外身はこれ。
特製の包装紙に梱包された箱の中に小冊子が詰め合わさっています。
『春の別荘』『春の海』『夜ざくら変化』といった地下春本の復刻3冊と、解説&所感を綴った冊子(表紙は「愛情生活」と地下春本風な装い)、付録セット(春本調のノートとカード)、原本の表紙や一部を実物大で複写した参考図版などがきれいにおさめられています。
なぜ、地下本を復刻したのかといえば、現在ではあまり保存されていない謄写印刷物の中でも、もっともはかない?存在であったこの種の書物を、はたして復刻する意味があるのだろうかと自問しつつも、実際に製版、印刷、製本することで、それを作った人々の心情や事情を少しでも理解できたら、という思いがあって、とのこと。
—内容をもう少し詳しく説明すると—-
●復刻本『春の海』坂本氏所蔵の地下本の中でもっとも挿絵が上等という理由から復刻された作品。娘と二人暮らしの女流画家が、ある夜、強盗に押し入られ、年頃の娘を守るため、自らの体を差し出すのだが、娘の前で快楽に身悶えたことから、娘が性へと目覚めてしまう…
B6版袋綴じ46P 4枚の挿絵が折り畳まれて綴じられているほか文中にも挿絵あり。
●復刻本『春の別荘』鎌倉の別荘で過ごす実業家の美しいふたりの娘たち。姉が密かに隣室の学生山田に思いを寄せ、自慰にふけり「淫水ストーリーがズルズル出しける」を目撃した山田はたまらず…。大胆というよりあけすけな表現と、ご都合主義なストーリーが楽しい小品。手のひらサイズの小さな本にすごい密度で文字が書かれている、文字エロ本。
B7版袋とじ14P 挿絵が1P綴じ込んであります。
●復刻本『夜ざくら変化』四十八手(実際には45図)の図解と女性器の6タイプが図解されています。本の発行が遅れたのは、ひとえにこの図のトレースと製版に時間がかかったためと言及されていますが、それだけの力作。8色のインクで刷られた美本!
B6版横袋綴じ54P
●解説書 謄写印刷による地下本に関するが概論に加えて、今回の個々の作品に関する解説や覚え書きを記したもの。作品の解説は内容についての解説ではなく、主に仕様や製版技術に関する説明。
A6判24P
●付録 B6判地下本風ノートと、多色刷りカード(釜山で採取した情報誌を利用して作った袋に入っています)
●参考図版
原本の表紙+挿図抜粋複写 B4判カラー
原本の割付丁裁複写 A3判モノクロ
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箱は140×190ミリ。限定150部