手差ユニッツ「甲突川を歩く」¥700+税
学生時代から、自身が描いたマンガを手差し印刷して冊子を作って不定期に発表している手差ユニッツの、2016年から2018年の作品をまとめたもの。
生まれ故郷鹿児島の祖父の家を訪れた際の、何気ない会話や散策のシーンを描いた短編「甲突川を歩く」「枇杷を採る」のふるさと2作品を巻頭に収録。
老人らしい? 知恵の言葉と気ままな言葉をまだら状に繰り出す祖父の姿が孫の視点から描かれています。
鹿児島愛のおすそわけ、地元民になじみのおすすめスポットの地図つき。
パンクのコピーバンドをしていた、何者でもなかった学生時代…ジョー・ストラマーの訃報に接した冬の一日の、およそパンクでない
物語「walk out to winter」。
ほかにも、彼女の事が気になって受験勉強がはかどらない高校生の受験前後を描く「僕は停滞気味」。リュックの中に膨張する宇宙を背負う男の子と彼が気になる女の子の物語「宇宙を背負った男」。
子供の頃から身近な人たちを主人公にマンガを描いて、周囲に見せていたという著者が、昭和のテイスト漂うタッチで、いまも身近な人を登場人物にしながら、成長した分、前よりちょっと遠く高い視点から描いた短編の数々。
ちょっと頼りない君を、静かに見ている人がいて、心の中で応援したり、懐かしんでいるかもよ…という、何でもない日常に隠れたひだまりみたいな場面が描かれています。