近藤聡乃「ニューヨークで考え中 2」(亜紀書房)¥1000+税
前巻から、はや3年。
1年だけのつもりで、やって来たニューヨークに、住み続けて7年目から10年を迎える前までの
日々の雑記漫画集。
地下鉄で、あるいは町を歩きながら、次の漫画のアイデアを考え、淡々と描き続けてきた3年ほどの間に、現地で出会ってつきあっていたアメリカ人彼氏と結婚し、住み慣れたアパートを引き払って同居し、大学生になる義理の娘もできたーー。
町を歩いていても、物珍しさは減って、トキメキも消えたけど、家族もできて文字通りホームタウンになったニューヨークで、生活者ときどき異邦人の視点で描く2巻目。
日本に帰国するタイミングや理由を逸してしまってから、はじめて発見するニューヨーク、自分に染み付いている日本の味や記憶、日本語を学習する夫を端で見ながら、言葉について、文化について思うこと…などなど。
ビザ申請の度に必要な書類やまとまったお金と労力に外国人である事を痛感したり、婚姻届けの前に届けを出すための許可書を申請する手順に戸惑ったり。発音が悪かったのか相手の聞き間違えか、互いに誤解したまま奇跡的に成立した会話、日本語を学ぶ夫の簡潔すぎて心を抉る/味わい深い日本語…。平穏な暮らしの中に、そのときどきのエピソードと去来する思いが描かれています。
糸かがりでコデックス装になっているので本が開きやすく読みやすいです。