ミニコミの世界には、長いインターバルで発行を続ける10年選手、20年選手がいますが、ここにもオリンピックを上回る堂々のペースで2号目を出した、ウェルカムバック〜なミニコミが! 創刊号が2002年だから実に7年ぶり。満を持しての2号目の登場です。ミニコミならではのマイペース! と言ってしまえばそれまでですが、その間、作業をしていなかったわけではなく、常に発行人さんの念頭にありながら、そのご身辺にはいろいろなことがあったもよう…。
「ひとりものが行く!」という特集は、“もしかして、発行が延びている間にひとりものでなくなってしまうかも…”という危惧だか期待を抱えつつ、ひとりものをモチーフにした本や漫画や音楽のレヴューをしたためること7年、いまもひとりという、孤高が見てとれます。
●特集:ひとりものが行く!
「ひとりもの」ブック・レビュー 枕屋探涼
「ひとりもの」漫画本レビュー 枕屋探涼
「ひとりもの」ソング対 枕屋探涼VS自炊回路
ひとりもの音楽私史 ホシノフミオ
●寄稿
ナツノオト・オトノタビ キクチ・ナツ
究極のケミカル・サイケ・アンセム『第一級恋愛罪』について デリリウム淀川
●連載
日本カルト音楽家列伝 第一回 エレファントカシマシ(前編) 自炊回路
ノイズと私 第三回 ザ・ゲロゲリゲゲゲの巻 枕屋探涼
土曜音楽 第二回 割礼「ネイルフラン」 枕屋探涼
日曜音楽 第二回 つじあやの「バランソ」 枕屋探涼
絵葉書趣味 第二回 枕屋探涼
私的邦楽ランキング 2002〜2008 枕屋探涼
編集・発行人さんが記事の大半を書いていますが、ひとりものに関する本を読み、音楽を聞きながら、おのが身に引き寄せ考えては、シニカルになったり理想を探ってみたりとその思索は尽きず…、昨今の「おひとりさま」ブーム以前からの7年越しの“ひとり”考は実用論ではなく生きている限り続くものといえましょう。
7年の間には、早くに入稿した執筆者ホシノフミオ氏が逝去されたり、自らも病を得たりと、人生の転換期を迎えられた模様。その中で、木版画家の宇田川新聞さんに表紙を依頼してポップな雰囲気を導入したり、工夫を凝らす事も忘れてはいません。が、本文は簡素なレイアウトにローテクなプリントと製本で、ミニコミの骨太さをしっかり残し、この7年のインフラの変化をよい意味で感じさせない、強い存在感を発揮しています。
新しい号を出すまでに7年かかったものの、後書きでは、次号は「野球」次々号は「死」をテーマを掲げ、続行の決意を表明。何かずっしりしたものが伝わってきます!
B5判92P