日別アーカイブ: 2020 年 10 月 3 日

「鴻池朋子 絵のうら側に言葉の糸をとおす」聞き手 大竹昭子+堀江敏幸

「鴻池朋子 絵のうら側に言葉の糸をとおす」聞き手 大竹昭子+堀江敏幸(カタリココ文庫)¥900+tax

2017年、鴻池朋子を招き、聞き手、大竹昭子+堀江敏幸で行った対談の再録。

東日本大震災後の2011年3月、大竹昭子の呼びかけにより「ことばのポトラック」がおこなわれました。本書はいまも継続しているこのトークイベントに、美術家・鴻池朋子が登壇した回の内容を再構成した鼎談集です。
聞き手は大竹昭子と堀江敏幸がつとめ、三人それぞれが多くの言葉を足しました。

鴻池朋子は大震災のとき、個展のを開催中で、揺れが収まってから会場にいくと、自分の作品に少しも情熱がもてなくなっているのに気が付きました。そこでいったん制作を停止し、描くとは? 創るとは、作品を見せるとは? など、つぎつぎと湧きおこる本源的な問いに全身全霊でむきあい、模索します。

そこから絵画パネルという既存の表現形式を超えて、動物の皮革に描いたり、糸で縫ったりという手法が編み出されていきました。

「描くこと」「創ること」ことを、人間の営みの歴史や地球の活動にまで広げてとらえようとする彼女の意欲は、既存の「美術」を超えた刺激と発見に満ちています。

「ポトラック」の会場はその日、大変な熱気に包まれましたが、人々が集うことがしづらくなったいま、そのときのエネルギーと思考の軌跡を活字にしてお届けしたいと思いました。

コロナ禍と津波は同じではありませんが、人間の想像力を超えた事態に直面したとき、それに立ち向かおうとする姿勢には希望が感じられます。

日常が滞りなく過ぎていると見えにくい物事の本質は、大きな石が転がり落ちて行く手がふさがれたとき、たちまちあらわになります。
そのときに立ち止まって考えることができれば、つぎの山を登る力が蓄えられると彼女の言葉は教えます。

文庫60pages

震災後の、カンザスで制作展示した作品のカタログTornado Huntingもございます。

みなはむ 画集「夏でした」

みなはむ「夏でした」¥1200+tax

2020年夏、大阪のFOLK and old book storeに行われた同名の個展「夏でした」に合わせて作成された画集。

タイトル通り、炎天下、海辺や繁茂する草木の前で、様々な気持ちを抱えて佇む女の子や男の子たちが描かれています。40点以上を収録。

いつもとは違ったコロナ禍の夏に、草いきれや人が発散するエネルギーを描きながら、夏を過去形で語ることによって前に進む意志を込めたタイトルにしたのだそうです。

23.7x 18cm 40pages オールカラー