月別アーカイブ: 2016年5月

珍スポットトラベラー金原みわの紀行エッセイ 「さいはて紀行」

金原みわ「さいはて紀行」

金原みわ「さいはて紀行」(シカク出版)¥1000+税

珍スポット、B級スポット、秘宝館、ストリップ、ジャンクション、工場、珍建建築、電波住宅、珍寺、珍仏、巨大仏、新興宗教、奇祭、純喫茶、遊郭跡……
遠くにあるようで日常のすぐそばにある「さいはて」を巡る旅人、金原みわの旅の記録をまとめた紀行エッセイ集。

最近、都築響一のロードサイズ・ウィークリーでも執筆している金原みわは、ネタ探し的に珍スポットを訪ねるのなく、その空間を作った人々にも暖かな眼差しを向ける。たとえば、淀川の河原でホームレスアーティストに出会い、飼い野良猫?へのキャットフードを差し入れたり…、後日、彼の死を知り、筆者が佇み眺めた河原の景色は、さながら夢のあとのような、戦いのあとのような…。

場所や登場人物たちの面白さもさることながら、金原みわの眼差しを通して再発見する珍スポットと人々の生き方を覗いてみてください。おすすめです!!!

【収録内容】
性のさいはて ――生命の潮吹きストリップ
罪のさいはて ――刑務所で髪を切るということ
水のさいはて ――淀川アンダーザブリッジ性のさいはて
異国のさいはて ――タイのゴーゴーボーイズ
食のさいはて ――ゴキブリ食べたら人生変わった
宗教のさいはて ――キリスト看板総本部巡礼
夢のさいはて ――最高齢ストリッパーの夢
人のさいはて ――じっちゃんのちんちん
巻末コメント「珍スポットのデスティニーズ・チャイルド」(都築響一)

金原みわ プロフィール
珍スポトラベラーとして、全国の珍しい人・物・場所を巡りレポートしている。関西情報誌のMeetsRegional、ウェブメディアのジモコロ、都築響一氏のROADSIDER’s weeklyで記事連載中である。ハイエナズクラブや大阪奇食倶楽部に属し、イベントも定期開催している。

文庫202pages

金原みわ「さいはて紀行」

石丸まく人「僕たちの好きな水木しげるの小学館入門百科シリーズ」

僕たちの好きな水木しげるの小学館入門百科シリーズ

石丸まく人「僕たちの好きな水木しげるの小学館入門百科シリーズ」¥796+税

水木しげるが〈小学館入門百科シリーズ〉で発表した著作21冊を徹底解題。昭和の児童向け百科事典ものの中でも人気の妖怪シリーズの魅力を語る!
妖怪の元ネタから水木流のデフォルメなど、その成り立ちも探っています。
また他社の類書〈講談社まんが百科シリーズ〉〈霊界アドベンチャー〉などにも言及。後者は、1978年に漫画雑誌ガロに連載された「日本幽霊館」がベースになったもの。

A5判80pages

関根美有 傑作選「はびこる愛」

関根美有 傑作選「はびこる愛」

関根美有 傑作選「はびこる愛」(シカク出版)¥1000+税

これまで関根美有が自主制作で発表し、久しく品切れだった名作たちがシカク出版から傑作集として発行されました。

●収録作品はーーー
タグレッツ/僕とカメラと……。/アルプススタンド/片想い家/コントトール/ハロー!トーテムポール/ママール・フ・モモール、なりに

●エベレストライブラリスタッフによる解説
●漫画家高野雀さんによるコメント

初版の際のタコシェでの作品解説をいくつか再録しておきます。
☆☆☆

関根美有「はびこる愛」

◆ママール・フ・モモール、なりに
芸術家ママール・フ・モモールを主人公に、芸術を日常とすることを選んだがゆえに、地上から常に10センチ浮いているような、違和感ある日常を生きる男の様子を、シンプルな線画で淡々と描く。
自画像の中の自分を描いた自画像、芸術家でありながらとるに足りない床のシミと区別がつかない存在となったママール、あるいは宇宙に浮遊する偉大な芸術家となるママール……、ママールの空想や妄想のようで、あらゆる芸術家に通底するひたむきさと孤独を象徴したような描写が、グラフィカルに表現されています。
ママール・フ・モモールの行動を説明するナレーションも詩的でひとつの芸術家像、スタイルを打ち出しています。

関根美有「はびこる愛」

◆片想い家
主人公は30才に近いというのに、フラフラしていて「家」になろうとしない半家半人キャラ?ベンブ君。自立しようとしない息子にしびれを切らした両親に追い出され、人間界で一人暮らしをしながら立派な家になる修業をはじめたものの、だらだらすごすうちに2年が経ち、仕送りをもらえるのもあと1年に迫っても、いまだ自立の気配なし…。
それでも同じアパートに住むギターのうまい窓子ちゃんと、友達になってスタジオで演奏したり、遊び歩いたり…。ところが、その窓子ちゃんが近頃、忙しくなったのか遊んでくれなくなり、一人でふらふら公園に行ってみたり、家でゴロゴロしてたり…すると、少年に会ったり、勧誘の人が訪ねてきます。
そんなありふれた人たちとの出会いの中にも、みんながそれぞれ何かをひそかに思っていることに気付くベンブくん。はたしてこれのどこかが修業?という日常の中、ベンブ君はどうなるのでしょうか?

関根美有「はびこる愛」

◆タグレッツ
立食い蕎麦屋に通う、雪国出身の青年が、店の女性に密かに心を寄せ気持ちを打ち明けるタイミングを待ちながら、(田舎)臭を意識する「タグレッツ」

A5判306pages

怪奇貸本収蔵館 第二号 若林哲弘編

怪奇貸本収蔵館 第二号 若林哲弘編

怪奇貸本収蔵館 第二号 若林哲弘編(グッピー書林plus)¥1200+税

埋もれかけた漫画を発掘して復刻をするグッピー書林の怪奇貸本収蔵館第二弾は、マジンガーZの作画で知られる若林哲弘が 貸本時代に描いた怪奇漫画2編「死神の札束」と「眠る霧」を収録。

紙芝居から貸本の流れはよく語られているが、貸本からアニメに活躍の場広げた作家も多く若林もその一人。
実は、怪奇漫画らしい作品は本書収録の2編のみで、貸本ではスリラー系やアクションを手がけていたが、「眠る霧」は南竜二の「地獄の使者」の原本となった作品。
また「死神の札束」は、後年、若林宏名義でアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の作画にも携わる若林による、水木へのリスペクト?や死神キャラを彷彿とさせる登場人物も注目ポイントのひとつ。

A5判180pages