日別アーカイブ: 2009 年 1 月 21 日

田房永子(若松あやの)「むだにびっくり」

田房永子(若松あやの)「むだにびっくり」 ¥525

 潜入漫画レポに憧れていた筆者・田房永子さんこと若松あやのさんは、あるとき男性向けエロ本雑誌から、毎月、風俗や変態パーティに取材する仕事を受け、チャンス到来とばかりに、都内の盛り場に勇んででかけたのだが、それまで風俗とは全く縁のなかった彼女が目にしたものは、男性の性への欲望が作り出したやたら多すぎるサービスの数々であった…。
 取材先に気遣い「すごいですね。素晴らしいアイデアですね」と感服してみせながら、内心(なんて無駄なものがあるんだ!)と別の意味で関心する日々。
 スニーカーを履き潰し眼鏡をかけた、およそ風俗にほど遠いいでたちで、地味に店長や風俗嬢に取材をして、セクシーでかわいい女の子のキャラで潜入体験ルポを書きながら、書けない事実や内なる声が心の底にたまって空しさだけが膨らむ…。
 本書は、そんなこれまで書けなかった(書く必要もなかった)「むだにびっくり」を集めた、男性誌に書けなかった風俗潜入異色ルポ。
 Tシャツにジーパンという格好のまま、女王様に縛ってもらっても、Mっ気もないせいか「こんなものか…」と冷めている筆者。しかし同行の編集者や店の人への気遣いもあって、縛り吊るされた状態で「いや、すごいですね!まいったなぁ、こんな世界があるんだなぁ、いや、すごい」と稲川淳二のように振る舞う、ちょっと間抜けで異様なパフォーマンスが展開される取材現場。
 そんな取材の様子を含めて、風俗の現場を描いた「むだにびっくり」は男性はもちろん、女性の方も安心して楽しくお読みいただける本です。田房さんのイラストもふんだんに盛り込まれています。
A5判96P
 帯をとると、楽しいイラストが出てくるしかけになっています。

南陀楼綾繁ほか「山からお宝」

南陀楼綾繁ほか「山からお宝」 ¥1050

 編集者・ライターの南陀楼綾繁氏と、イラストルポライターの内澤旬子氏による「けものみち」文庫第二弾。
 南陀楼氏の、本棚では間に合わず床にも本を積み上げた、本にずるまみれの生活の中で書いたレビューをまとめた「積んでは崩し」はすでに品切れとなりましたが、そこに掲載した本が床を占拠している自宅写真の反響の大きさに意を強くして(?)、積んどく仲間をひきつれリターン!
 南陀楼氏周辺の本好きたちが、崩れそうな本の山に占拠された自宅を写真で大公開。本についてではなく,自身の本の山について、それぞれの成分や成り立ち、事情を語ります。
〈本の山を公開している方々〉
 山本善行、能町みね子、退屈男、中相作、ピッポ、藤原努、書肆紅屋、塩山芳明、グレゴリ青山、須賀章雅、武藤良子、青柳隆雄、今柊二、畠中理恵子、高野麻結子、栗原裕一郎
〈本の山に関するアンケート回答者〉
高野ひろし、豊崎由美、芝田文乃、みさきたまゑ、五十嵐洋之、神原智子、下妻久美、東川正彦、向井透史、ほか
A5判72P