写真集」カテゴリーアーカイブ

山中学『不浄観』

山中学『不浄観』  オリジナルプリントつき¥25000 なし¥20000

 いわゆる浮浪者の中でも、世俗から離れたある種の仙人、隠遁者のような風貌の人たちを撮影した「阿羅漢」、やがて終焉を迎える老女の肉体そのものを写し撮った「羯諦』、恐ろしく澄んだ瞳をした“善財童子”の化身のような子供たちの姿をおさめた『童子』、産声をあげることのなかったいつかの間の命をレンズの奥にとどめた『無空 茫々然』……、生と死をあるがままに受け入れ写し撮った写真を撮り続ける山中学氏が92年に限定150部で作成した写真集『不浄観』の僅かな残部が入荷しました。
  息をひきとった後、朽ちはててゆく過程にある動物の死体。骨が見え、体も薄くなった死体が埴輪のように見えた、ということから、鳥、猪、鹿など19の動物の亡がらの存在が薄皮をはぐように希薄になってゆく姿を写真にとどめたものです。
 
 丸まって、毛皮や羽に包まれながら、自然にまかせて肉を朽ち落としてゆく動物たちの姿は、グロテスクというより、いたいけさ、愛おしさを感じさせます。
 510×365ミリの台紙に、255ミリ×305ミリの紙に印刷された写真がついたものが19葉。
 作家自身による序文、瀬木慎一の寄稿がついています。
たとうにおさめたうえで、段ボールの外箱がついています。
150部のうち1〜50部はオリジナルプリントとサインつきです。オリジナルプリントは19作のうちのどれか一つが入っています。

「HENRY DARGER'S ROOM」あのヘンリー・ダーガーの創作の痕跡だらけの部屋写真

「HENRY DARGER’S ROOM」 ¥3000

 生前は清掃関係の仕事で辛うじて生活し社会との接点を持つ、半ひきこもり状態で1973年に没した稀代のアウトサイダー・アーチスト、ヘンリー・ダーガーが、人生後半の40年を過ごした部屋の内部写真を集めたもの。
 インテリア雑誌のお部屋とは対照的に小さな部屋に生活用品から趣味のものまでをぎゅうぎゅうに詰め込んだ自分宇宙に暮らす東京の若者たちの部屋写真を集めた「TOKYO STYLE」の都築響一氏が小出由紀子氏とともにIMPERIAL PRESSの名の下で編集・発行した自費出版物。
 シカゴ市内にあるタウンハウス、3階奥の一室がダーガーの部屋であった。生前この部屋に彼を訪ねる人はなく、近所の教会の牧師がたまに訪ねてくるか、大家夫人が電球を替えるために入室するぐらいだったという。身寄りのないダーガーが部屋を去り、大家でデザイナーとして活躍していたネイサン・ラーナーが片付けを始めたところ、そこにとんでもないものを発見した。『非現実の王国で』という題の付いた小説15巻と、その挿絵数百枚だった。人は、日常と非日常を往来してアートを生み出す。だが、ダーガーの場合、現実と空想は分かちがたく結びついていた。無慈悲で空虚な現実より、豊かで甘美な空想世界がリアルさを増してゆき、ダーガーはこの部屋に居ながら、『非現実』を生きていた。特異なアートを生み出した特異な人生。どちらもこの部屋で起こった。
 ダーガーは雑誌の少女たちの写真やイラストを写真に撮り、それを拡大したり縮小し、トレース、コラージュして自作を構成していたのだが、その資料となった雑誌の束や、壁に飾られたいくつもの少女たちの切り抜き、分厚いパイのように重なった印刷物や紙の束などなど、没後間もなくしての70年代の写真と、部屋が撤去される直前の90年代に撮影された写真郡によってそのディテールが見てとれ、独特の作品の舞台裏が公開されたようで興味深いです。
 ちょうど3月29日より渋谷シネマライズにて、ヘンリー・ダーガーの「非現実の王国で」を元にしたアニメ『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』の公開がはじまったばかり。あの、ヴィヴィアン・ガールズの女の子たちが動いているんですよ! あわせてヘンリーの内なる世界〜お部屋〜も覗いてみてください。

四谷シモン「人形愛」サイン入

現在開催中の四谷シモンさんの小品展。
これにあわせて、現在、新本での入手が不可能な、初の作品集「人形愛」をサイン入でおわけいただきました。

四谷シモン『人形愛』
 監修/澁澤龍彦 撮影/篠山紀信
人形作品が、様々な角度から寄りで、あるいはひきで撮影されていたり、着衣とヌードのヴァージョンがあったりして、じっくり細部も眺めることができます。
瀧口修造「人形螺旋–四谷シモンに」「志問糸文–ある幕間狂言のしたがきとしての試み」、
澁澤龍彦「未来と過去のイヴ」「メカニズムと少年」、
吉岡実「薄荷–(人は爆発する)四谷シモン」、
巌谷國士「聖シモンとその自動人形」、
高橋睦郎「人形愛宣言」、
東野芳明「シモンへの短信」
「ピグマリオニスム 人形愛の形而上学をめぐって」澁澤・四谷対談。
「四谷シモン語録」四谷シモン「シモンスキーの手記」「年譜」を収録しています。
330mm×255 120P ビニールカバーつき。

淡く儚い光を記録した写真集「光ノ音」

石川文子「光ノ音」 ¥1200

 百合の生けられた硝子の花瓶に反射する光、走る電車の窓から誰もいない座席にふりそそぐ光、長い人影を路地にうつし出す黄金の夕日の光、路面に落ちる水しぶきを白く輝かせる光、木々の葉を通して若い緑をうつす光…風景というより音のようにこぼれおちてしまう淡く儚い光を記録した光の譜面–a note of a light。
 関西で活動する石川文子さんが自費出版した、カードブックになった小さな写真集です。32葉のカードが綴られています。

釣崎清隆・写真/石丸元章・文「10 stories of DEADLY SPEED」

釣崎清隆・写真 + 石丸元章・文 「10 stories of DEADLY SPEED」 ¥100000

 死体写真家・釣崎清隆による撮影・手焼きの死体のある交通事故現場のオリジナル・プリント10葉と、石丸元章が事故の経緯からインスパイアされた短編小説10編を書き下ろし、10のポートフォリオにセットにしたコラボレーション作品です。
 プリント・サイズは六切(8×10インチ)、50部限定でエディションナンバーとサイン入です。
特製ケース入り。
 店頭でご覧いただくこともできますので、店員にお申し付けください。