ミニコミ」カテゴリーアーカイブ

大平飛翔「消えない」「錆びた自転車」

大平飛翔「消えない」¥300+tax

存在感のない青年、時村くんが、ある日、夜道でひとりの見知らぬ女の子に声をかけられるのだが
彼女の正体は…

二人の出会いとつかの間のやりとりを寡黙に、ただただ描きこんだ短編。
そのタッチこそが印象的。

A5判20pages


大平飛翔「錆びた自転車」¥500+tax

本に託して届けたつもりの気持ちがあまりに伝わらず、伝わらないまま、あまりに待ち続けた挙げ句の返却の顛末。

何もないのに、思いだけがどんどん蓄積してゆく….その重みが愚直なまでに塗り重ねられたペンで描きこまれたベタや陰影から伝わってきます。

B5判18pages

安田謙一「ライブ漫筆」 装画・イラスト:辻井タカヒロ

安田謙一「ライブ漫筆」 装画・イラスト:辻井タカヒロ (誠光社)¥1500+tax

「ロック漫筆家」安田謙一が「ミーツ・リージョナル」に連載中のライブ評「人間ライブが資本主義」をまとめたもの。2013年5月から2020年5月までの間の85本を収録。

音源が残っていない越路吹雪の公演について書いた演芸評論家・安藤鶴夫の文章を読んだときに、その音が聞こえたきたように、あるいは紅白歌合戦の実況をAMラジオで聴いていた子供の頃、沢田研二が曲の途中で行った鳩を出すマジックを伝えた「沢田さんが鳩を出しました」を耳にした瞬間のように、
曲目や演奏が大事なのは承知のうえで、”そこじゃない”ライブのライブたる部分までを綴った名人芸のメドレーです。

コロナ禍での制作は、みんなで密になって声をあげていた、ライブの当たり前を「何でもないようなことが、幸せだったと思う」作業でもあったそうで、ひょっとするとポストコロナ、新しい生活が定着した後、本書は未来の民俗学的資料になったり、これからの音楽体験の愉しみを模索するヒントになるかもしれません。

掲載ライブ(下記は一部・全体は目次画像参照)
バート・バカラック/恵比寿★マスカッツ/エルヴィス・コステロ/水谷千重子/KIRINJI/民謡クルセイダーズ/クレイジーケンバンド/宇崎竜童/シャムキャッツ/憂歌団/ものまねショウ/松浦真也の吉本新喜劇/MOCKY/ジェフ・ミルズ/ピチカート・ワン/柴田聡子ほか

A6判262pages (誠光社)
辻井タカヒロの挿画部分はリソグラフ印刷になっています。

つくづくvol.6 つくづくのタオルブック

つくづくvol.6 つくづくのタオルブック(tilder)¥600+tax

ブランドとコラボした、バッグや財布、コスメなど豪華な付録が大きなウェイトを占める雑誌の数々をみながら、自由研究と実験がテーマのインディーズ雑誌「つくづく」編集人・金井悟は考えました。
雑貨と雑誌のどちらがメインかわからないのなら、最初から雑貨を雑誌と言ってしまっうのはどうか?
こうして誕生したのが、今号、つくづくvol.6 つくづくのタオルブック」です。

とはいえ、タオルBOOKや2020年のマストアイテム=マスクが主役と言い切る本は、すでに書店やコンビニで売られているそう…。

密封パックの内容は以下の通り===

◎『つくづく vol.6』(タオル型雑誌)
約34×88cmの普通のタオル。短いテクストが印刷してあるので
サウナや風呂場でも楽しむことができます。

◯別冊付録① 『つくづく vol.5.1』(ポストカードver.)
つくづくvol.5として発行した、銭湯の鏡広告をポストカードにしたもの。

◯ 『つくづくのタオルブック1』
A4三つ折り、リソ印刷。
内容は、編集人のセルフインタビューとコンビニ限定の「〇〇本」の研究

◯ 『つくづくのタオルブック2』
B6判16pages リソ印刷
・考えあぐね通信(文:つくづく編集人)

◯イワイガワ・岩井ジョニ男さんのしおり

田口史人「父とゆうちゃん」

田口史人「父とゆうちゃん」¥1200+tax

大学中退を機に実家を出て、30年近く家族と疎遠だった著者は、父親が住み慣れた家を立ち退かざるを得ない事を知り、5年ぶりに再会する。
母親は他界し、父も、父と同居する妹も相応に年をとり、様子の変わった家族にほどよい距離を感じ、ねたきりになった親友のゆうちゃんを見舞いにゆくという父について病院に行き、そこで経済成長の昭和をギラギラ仕事に生きた男たちが旧交を暖める場に立ち会う。これが本書の前半。

やがて病を得た父は、治療中に自伝の執筆を試みるが筆がすすまず、父が生きた時代に興味を持つ息子は呼び水になればと、ゆうちゃんとの対面場面を描写し、父に見せると、文学青年だった父は「そうか」と何かをつかんだような反応をする。

一時は驚異的回復をみせた父は、やがて亡くなり後半はその前後を綴ったものとなります。

老い、死、病、仕事、生活…
父や同世代の男性たちの老後を目の前に、50にさしかかり、東京を拠点に地方と往復する生活に疑問を感じたり、後半生の過ごし方を考えはじめた息子の胸に去来するものを綴ったエッセイ。

18.2cm×12.8cm 36pages

mississippi 月子ちゃんと衛星

mississippi 「月子ちゃんと衛星」¥300+tax

月子ちゃんは、生まれたときから頭の周りを小さな衛星がまわっている以外は、普通の女の子。

ある日、巨大彗星が地球に高い確立で地球に衝突することが発表され、ニュースで避難が呼びかけられ、みんながパニックになり逃げまどう中、月子ちゃんだけは不思議な胸騒ぎを覚えて、みんなとは逆の方向にバイクをとばすのでした…..
果たしてその先には何が待っている?

2018年に発行されたラトビアのコミック誌kus!の日本特集にあわせて描き下ろした8Pの短編に加筆修正したもの。

A6判12pages