工藤冬里「棺」

工藤冬里「棺」

工藤冬里「棺」(十六夜書房) ¥1300

工藤冬里(マヘル・シャラル・ハッシュ・バズ)の初詩集。
2011年1月から5月にかけて書かれた詩編を収録。
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そういう風にして

そういう風にして今年に入って、ある曜日にある場所である地層から遺書のような言葉を出すことを続けてきた。震災の後、東京でもそれが出来る状況になり、東京から帰って来てからは最早場所は日常全体に敷衍できると思い始めた。書くことには手続きが必要だ。詩とは言葉を出す場所を決めることだ。そういう風にして、再びノスタルジーの契機さえ捉えることが出来るようになる。そういう風にして、今日のわたしが昨日のわたしになる。未来はないにしても。
————–(「棺」より)
A5判174P