フランスのオルタナ系BDダビッド・ベー「大発作」

ダビッド・ベー「大発作 てんかんをめぐる家族の物語」(監修:フレデリック・ボワレ、訳/グラフィック・アダプテーション:関澄かおる)¥3990

 雑誌Penの「世界のコミック大研究。」特集でフランスのティエリー・グロンスティン、アメリカのスコット・マクラウドがともに注目作として挙げたフランスDabid B 『l’Ascension du Haut Mal』の邦訳版です。
 1959年生まれの作者の自伝マンガで、デビッドはまじめな両親のもと、兄、妹の兄妹や友達と遊び暮らすごく普通の子供でしたが、64年に兄がてんかん発作に教われたことから一家の生活は一変。
 まずは両親と兄のドクターショッピング、当時の技術ではリスクも大きかった脳外科手術をせまられた家族が出した結論は、手術を避け、西洋医学以外の療法を試してみることに。食事療法から、鍼やマッサージ、共同体での生活、霊媒師、占い師、宗教…、スピリチュアルからオカルト、あらゆる療法を試しながら、いつ終わるともわからない一家の戦いと迷走は続きます…。
 兄を助けたい気持ちと病気やオカルトひいては兄に対する反発の中、作者は創作へと向かい、やがて一家の戦いをすべて描くという彼なりの方法で事実と対峙します。
 
 家族ががんばればがんばるほど、家族愛が強ければ強いほど事態は愚かで悲惨で、それを誤摩化しなく描こうとすればするほど、物語や絵のタッチもヘヴィになり、人間の深部に入り込むことになります。
 和定食を食べ慣れた胃には、本場フレンチのフルコースがヘヴィなように、このフレンチオルタナ系BDを味わうには、読者にも心と頭のタフさが要求されるかもしれません!