手紙にまつわる文芸系小冊子「すみれノオト」

早川茉莉編集「すみれノオト」 ¥500

 文芸系の小冊子「surprise」の編集・発行人だった早川茉莉さんによる新しい文芸乙女系の冊子。手作りのミニコミに目覚め、印刷・製本を業者に依頼していたのを、自ら出力・製本するローテク冊子にしてしまった茉莉さん。しかし、作る度に、スキルをアップし、好きなアイテムを自由に貼ったり挟んだりという、ハンドメイドならではの楽しみを盛り込んだ楽しみな小冊子になってきました。
 今回の特集は手紙。「手紙を書きたくなったら、お手紙セットを詰めたお気に入りの箱を持ってカフェに出かけよう」ということで、この本自体が、手紙についてを読者に向けて綴った手紙のようになっています。
 「私は強い衝動に駆られて、若し許さるるなら私は大声を挙げて「タロー!タロー!」と野でも山でも叫び廻り度い気がする」という狂おしいまでの岡本かの子による息子・太郎への手紙。(息子が爆発しちゃうのも納得である)や、北園克衛、与謝野晶子、鴨居羊子と交流のあったマダムFの手紙など、いろいろな人の手紙を読み、また手紙周りの切手、文具にも触れる。
 最近では、オリジナルステーショナリー作りに凝っているということで、便せん形式のページがあったり、随所に工夫が凝らされ、特製レターセットが付録についています。
B6判40Pカラー