短編小説集 僕のマリ「いかれた慕情」 ¥741+税
「私はいつも、家族にも友人にも本音を言うのが苦手だった。何年生きても薄い関係しか築けないのが、ずっとコンプレックスだった。自分を晒すことにどうしても抵抗があり、踏み込みのも踏み込まれるのも躊躇した(中略)こんな気持ちであと何年生きられるだろうか」
そんな気持ちをずっと抱えてきた著者が、密かに暖めてきた唯一絶対の想いが「もの書き」になること。他者とのディスコミュニケーション、あるいは誰かと向き合って共感した瞬間や傷ついたことを綴ることで、自らの生の感触を確認するしているような作品は、読者にまでその感触が伝わってきます。
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学校にやってきた大学生OBと何度か会ううちに、大人の彼にあわせた自然な流れで関係を持ったが、あっけなく捨てられてしまう女子高生の物語「桃のネクター」
SNSで目にした女子大生に憧れ、ストーカーまがいのアプローチではじまる友情の記録「リノちゃん」
死のうとするくらい、自分や自分の未来に絶望していた頃の青春「確かに恋だった」
など5編を収録。
A5判53pages