創作 1973年10月〜1975年7月 ¥1300+税
どこの誰が書いたかわからない70年代の日記ーーー
書き手は、文学を志し、名作や話題作を読破し、学びながら、自身が「凡人」であることを自覚する。
それゆえに、自らを追いこみ、職を辞して後道を絶ち、さらには食い詰め、日雇いに就き、その実直さゆえに勝負師の素質もないのにギャンブルに囚われ(=カモられ)、借金を背負い、心折れては気持ちを新たに、旅に出る…
しかし、旅は転機も奇跡ももたらさず、主人公は己の凡庸さんを噛み締めつつ、精神世界に関心を抱きはじめるたところで日記は唐突に終わる。
凡庸さに苦悩し、真摯に創作を志す昭和の若者の心情が日々が、数行の天気や用件、思考を綴った簡潔な文から伝わってきます。その、悩ましさ、不安や焦り、諦めetc.は、時代に関係なく何かを志す者に響きます。
B6判184pages