米沢嘉博「戦後怪奇マンガ史」(鉄人社)¥2000+税
漫画評論家、米沢嘉博が、1986年から1990年まで、ホラーハウス(大陸書房)で連載していた「戦後怪奇マンガ史」「恐怖マンガの系譜」をまとめたもの。
戦後怪奇マンガの始まりに近いとされる手塚治虫「ロストワールド」から、つのだじろう「新うしろの百太郎」まで、約40年の流れを概観した通史。編者は赤田祐一、巻末に想田四と成瀬正祐による解題および、怪奇マンガを多数出版してきたひばり書房の主要刊行物と作家・作品名のリストを収録。
水木しげるや手塚治虫、わたなべまさこ、楳図かずお、日野日出志、伊藤潤二はもちろん、竹内寛行、いばら美喜、陽気幽平ら異色作家たちもマンガ史の中にしっかりと論じられ、怪奇漫画を体系的に語っています。
「戦後怪奇マンガ史」目次ーーーーーー
〈第一部 戦後怪奇マンガ史〉
はじめに/前史/「こわいまんが」の出現と成立/水木しげると兎月書房/「怪奇探偵漫画」の台頭/怪奇時代劇と小島剛夕の人気/怪奇アクションシリーズ登場/小説と映画の静かな怪奇ブーム/貸本劇画の奇書、怪書、珍書
〈第二部 恐怖マンガの系譜〉
楳図かずお 恐怖の刻印/恐怖の完成/少年から少女へ
少年誌発・妖怪ブーム
ムロタニ・ツネ象・孤高の怪奇世界
楳図かずおと古賀新一
古賀新一・因果の舞台劇
怪奇競作短編ブーム その1
山田ミネコ 魔法少女の時間
萩尾望都・吸血鬼幻想/怪奇からSFへ
山岸凉子・「ゆうれい談」の登場/肉体・精神・霊/霊感少女の災難
日野日出志・原色の風景/狂気の地獄絵
手塚治虫・青年怪奇マンガへの挑戦/暗い時代の中で/闇の記憶としての恐怖
山上たつひこ・悪意と恐怖とグロテスク
池上遼一・不条理の風景
諸星大二郎・日常にひそむ闇/SFの中の怪異
永井豪・笑いから恐怖へ/恐怖からSFへ
怪奇競作短編ブーム その2
古典名作書き下ろしシリーズ
ひばり書房の軌跡
立風書房・レモンコミックスの作家たち
美内すずえ・伝奇ロマンの語り手
佐伯かよの・SFの中の恐怖
里中満智子・愛に恐怖を
わたなべまさこ・悪魔の少女たち/怪奇メロドラマへの道
つのだじろう・マンガと心霊科学
〈解題〉成瀬正祐/想田四
〈資料〉ひばり書房 怪奇マンガ総目録(暫定版)
<著者略歴>
米沢嘉博(よねざわ よしひろ)
1953(昭和28)年熊本市生まれ。明治大学工学部入学を機に上京。
漫画批評グループ「迷宮」の活動に参加しマンガ評論、大衆文化評論を開始。
80年12月からコミックマーケット代表、2001年7月から日本マンガ学会理事をつとめる。
2006年10月1日、病没。享年53。
2009年には「米沢嘉博記念図書館」(明治大学)が開館された
21cm×13cm 288pages