遠山純生 編・著『イエジー・スコリモフスキ読本~「亡命」作家43年の軌跡~』

イエジー・スコリモフスキー読本

遠山純生 編・著「イエジー・スコリモフスキ読本〜「亡命」作家43年の軌跡〜」(boid) ¥1500+税

その反体制的姿勢ゆえに、祖国ポーランドを離れ、西側各国で映画製作を続けてきたイエジー・スコリモフスキ監督。「亡命」直前から、祖国への回帰へと至る作家の43年間の軌跡を、貴重なインタヴュー、対話をもとにたどる。

イエジー・スコリモフスキという映画作家だけではなく、彼をめぐる歴史と空間の全貌を見渡す、20世紀後半から21世紀にかけての映画の変容と未来を見つめる一冊。

<目次>
イエジー・スコリモフスキとの対話1(1966年)
スコリモフスキ関連年表1

イエジー・スコリモフスキとの対話2(1967年)

異郷と故郷のあいだ 一九六七年~二〇一〇年

「政治的に拒絶された」映画作家の軌跡

“鉄のカーテン”の向こう側へ『出発』

英国での映画作り『シャウト』『ムーンライティング』
スコリモフスキ関連年表2

再びポーランドへ『アンナと過ごした4日間』『エッセンシャル・キリング』
スコリモフスキ関連年表3

フィルモグラフィ

■イエジー・スコリモフスキ Jerzy Skolimowski
1960年代半ば、ポーランド映画界の“新しい波”を代表する若手監督として躍り出たイエジー・スコリモフスキは、戦後世代の声を代弁する私小説的な題材選びと奇抜な視覚的アイディアに満ちた画面作りで、一躍国際的な注目を浴びる。
しかしソ連の衛星国の一つであった冷戦時代のポーランドにおいて、反体制的姿勢をほのめかす挑発的なスコリモフスキの作品は問題視され、それを不服とした作家は祖国を離れることを決意。西側各国を渡り歩いて映画製作を続ける、苦難に満ちた人生のはじまりとなる。
約半世紀にわたるスコリモフスキの流浪生活から生まれたこの間の作品たちは、舞台となる土地も出演者の国籍もそれぞれに違い、かつ内容的にも多様な主題を扱っている。しかし、続けて観てみれば、時代と国籍の違いを超えて、そこにひとりの卓越した映画作家の特異な人生の軌跡と、多彩な作風に内在する一貫した個性的映画作法を見出すことができよう。

A5判156pages