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台湾発ドキュメンタリー漫画アンソロジー「熱帯季風 Monsoon vol.3 安静的戦地」

台湾発ドキュメンタリー漫画アンソロジー「熱帯季風 Monsoon vol.3 安静的戦地」(慢工出版 Slowork publishing) ¥3000+税

台中を拠点にするSlowork publishingがタイトル通りに東南アジアのアーティストたちのドキュメンタリー漫画を集めた雑誌Monsoon熱帯季風。
3号目は、その地理的な縛りを少し離れ、抽象的なテーマ「安静的戦地」(静かなる戦場)を掲げます。

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冒頭の必読古典作品紹介のコーナーでは、フランスで90年代のコミックムーブメントを牽引した作家の一人David Dの自伝的BDで
てんかんに罹った兄との関わりと描いた「大発作」と、オーストリアのUlli Lustがパンクスだった自身の17才当時を描いた
「If Today Is the Last Day of the Rest of Your Life」を紹介。
日本の映画監督・原一男の「ゆきゆきて神軍」も出てきます。

『異郷人』は、パレスチナで戦場の取材を続ける記者Versusの原作に新鋭漫画家の高妍(Gao Yan)が 作画を担当。

『安静的戦地』は鐘聖雄による、ベトナム人出稼ぎ労働者の失踪に関する報道を元にした漫画で、テクストを鐘聖雄が担当、アーティストの曽耀慶が作画を担当しています。

今回もそれぞれの作品にあわせて紙と印刷方法を変えた、サザイナー何佳興による美しい造本になっています。
ペンでなく筆を多用した作画、カリグラフィーにも通じたデザイナーによる造本設計…と味わい深い魅力に溢れています。

26cm×18.5ccm 158pages English/Chinese
カラーページが大半で、折り込みページやシルクスクリーンの綴じ込みページあり。


空想自叙伝をグラフィックノベル化 DIEGO LAZZARIN 「AMINOACID BOY AND THE CHAOS ORDER」

DIEGO LAZZARIN 「AMINOACID BOY AND THE CHAOS ORDER」 ¥ 2315+税

舞台美術を専攻した後、映像ジャンルで活動し、フランスのLe Dernier Criから画集も出版したイタリア人アーティストDiego Lazzarinの初グラフィックノベル。

自身の半生を、人間の行動を理解するために地球に送り込まれたエイリアンになぞらえた空想的自叙伝。
金属肉の有機的構造物として神によって作れたAmino(最初は、ちょっと根本敬の描くタケオ似)は、個々に生存理由を持ち欲望と意志を持って生きる人間を理解すべく神によって地球に送り込まれる。
そのミッションのために彼はDNAまで人間や動物に同化させグイグイと彼らの世界に入り込んでゆくのだが…。

17cm×24 cm 140pages フルカラー


mini kus! #78 キクチヒロノリ Hironori Kikuchi 「House to House」

mini kus! #78 キクチヒロノリ Hironori Kikuchi 「House to House」 (kus!)¥370+tax

ラトビアのコミックアンソロジー Kus!が本誌とは別に発行する、1アーティストの1作品を24ページの小冊子で紹介するmini kus!シリーズからキクチヒロノリの作品が出ました。

「House to House」家の中に飾られている家の絵画。その家を訪ねると、そこには、また別の家の絵があり…と家から家へと巡る旅。
コミックを描くときのポップなキャラクターや色使いの中にアルケミカルなモノクロな家やモチーフが出てきます。

A6判24pages

中西章文 遺作集「夢の途中」

中西章文 遺作集「夢の途中」(青林工藝舎)¥1650+税

1982年ガロでデビューから、90年まで同誌に作品を発表しながら、志し半ばの99年に42才の若さで他界した中西章文の遺作集。

中西文章は57年高知生まれ。
高校卒業後に上京、79年頃から『駅弁ひとり旅』でおなじみのはやせ淳の元でアシスタントを勤め、82年「夢の中」でガロにてデビュー。
8年間に11本の作品を発表し、97年に帰郷して闘病生活を送る中で2本の作品を描くも、念願の単行本化が叶わぬまま他界した。

師であるはやせ淳が作品をまとめて発行することを企画、twitterで遺族や関係者の連絡先を探す呼びかけが拡散され、没後20年にあたる2017年、単行本化が実現。

ガロに掲載された11本と闘病中に描いた未発表作2本に加え、アシスタント仲間や家族、編集人のはやせ淳の文章が収録されています。

デビュー作「夢の中」も、闘病中に描いた掌編「ベラスケスの視線」ともに、夢と現実、虚像と実像とが入れ籠のように重なり、視点の転換が続くうちに虚実の区別がつかなくなってゆく状況を描き込んでいます。

A5判240pages
はやせ淳先生の献辞とサイン入り

土屋慎吾「続々ゲゲゲのアシスタント~2人のアシスタント編~」

土屋慎吾「続々ゲゲゲのアシスタント~2人のアシスタント編~」¥926+税

全身官能劇画家・土屋慎吾先生の自伝漫画「ゲゲゲのアシスタント」第3弾。

68年から70年まで、水木プロダクションでアシスタントとして、つげ義春、鈴木翁二、つりたくにこ、古川益三らと働きながらも、繁忙期であっても休んで風俗に出かけたり、自分の作品を描くためにまとまった休暇をとったりで、戦力として全くあてにならずに、ついに師匠の水木先生から解雇されてしまった土屋慎吾先生。

実質的には無職というフリーランスとなりながらも結婚、これまで以上に自由を謳歌したため、家事もこなして外で働いて夫を支える妻の堪忍袋の緒も切れ、専業主婦となって夫の自立を促した結果、しぶしぶ持ち込みをはじめ、エロ劇画の世界に活路が見つける。
好景気と相俟って、依頼をこなすうちに仕事も増えて、取材と称して風俗に通うやら、浪費をするやらで、いつもの悪いクセが出て、どんどん天狗になってゆく…

←ここまでが前号までのあらすじ。

3弾ではアシスタントをやとったものの、相変わらずのちゃらんぽらんで、風俗、浮気、遅刻はなおらず仕事は伸び悩み…、アシスタントを抱えての経営にも苦労する中著書が発禁処分に……!!!!!!

ほかに、水木プロ最古参のアシスタントでともに働いた北川義和氏との思い出を描いた追悼コミックを収録。つげ義春、橋本将次、池上遼一といったアシスタントたちが登場する当時の水木プロの様子が伺えます。

A5判86pages ※サイン入り

2019年7月14日(日)14:00〜16:00 サイン会を行います!!!
すでに本にサインが入っていますが、+αがあるようです!!!!