漫画」カテゴリーアーカイブ

ついに完結 花輪和一「刑務所の前 3」

花輪和一「刑務所の前 3」 ¥1100

 作者が自身のムショ体験を描いた「刑務所の中」に先立つ、下獄にいたるまでを描いた異色告白マンガ「刑務所の前」。といっても単なる実録マンガではなく、拳銃の不法所持で捕まった、ソノ実銃コルト・ガバメント修復の詳細な記録と、遥か昔–花輪作品からイメージされるあの中世!–の鍛冶屋の少女の物語と緻密かつ奔放な獄中手記が縦横無尽に同時進行で描かれてゆきます。
 2巻目から約2年のときを経て、ようやく完結編3巻が出ました!
 漫画を描き作品を送り出してきたその机上で着々と改造されてゆく拳銃、そしてひたひたと忍び寄る捜査の手! ついにやってきたガサ入れ&御用。おやじ少女”花子”ちゃんの姿を借りて描かれる銃マニアの喜怒哀楽に中世の少女の因果なお話が交錯。少女とオヤジ、中世と現在、火縄銃を扱う鍛冶屋の女の子の物語と漫画家の犯罪とが等価に描かれるミラクルワールド!
 わざわざカラーで描かれた拘留中メモスケッチと描きおろし漫画「仮釈放」も加わり、祖父江慎さんによる金箔おしカバー&表紙のエンボス不動明王+タイトルの加工・表2/4のメタル感etcといったゴージャスなアートワークとあいまって圧巻です。

本秀康さんの本、出ています–ワイルド・マウンテンvol.5 & レコスケくん

本秀康 「ワイルド マウンテン vol.5」¥630 

 隕石の落下によって中野区に隆起してできたワイルドマウンテン町。当時、地球防衛軍の隊長でありながら実は自らの不注意でこれを阻止できなかった菅菅彦は、この町の町長となり町の発展に寄与することで密かに償いを果たしています。幸い、菅彦の情熱的な働きでワイルドマウンテン町は新興住宅地として発展し、菅彦は住民たちからも慕われ、恋の成就も直前! 5巻目では、元職場の防衛軍とワイルドマウンテン町、防衛軍時代に好きだったマリちゃんと、町の未亡人との間で菅彦の気持が揺れ動きます。仕事か恋、自分の幸せか彼女の幸せか? そんなちょっと古典的な青春テーマの間で、男の虚勢も手伝っていつもありえな〜い??行動に走ってしまう菅彦。今回もその迷走ぶりが存分に発揮されて”あれれ”な方向にお話が進みますよ〜!
本秀康 「レコスケくん complete edition」¥1500

 自身を投影したようなレコード大好き人間の喜怒哀楽を描いた本さんのシリーズもの「レコスケくん」。2001年に発売された作品に近作17編と初期テイク72P分を加えての完全版として再登場です。解説は安田謙一氏。

究極のおっかけ漫画「ウメゾロジー」の愛蔵版、出ました。

金子デメリン「ウメゾロジー 愛蔵版」 ¥1680

 楳図先生の一ファンが作り上げた伝説の自主制作本『ウメゾロジー』に描きおろしを加えた愛蔵版が出ました。
 内容は楳図かずおおっかけ暦10年の金子デメリンさんが、楳図先生のゆかりの場所(かつての仕事場があったマンションやら後楽園のお化け屋敷)から作品にちなんだ場所、あるいは店名にマコトが入るショップまで100スポットを、楳図先生タッチの絵でもってパロディ風漫画でレポートしたもの。
 ほかに楳図かずおインタビュー、「むかしトイレがこわかった!振り付け大分析」なども収録。カラー口絵8Pとあたらな描きおろし6Pが加わっています。
A5判 255P
作者自身が製作した「ウメゾロジー 完全版」もあります。

こちらには愛蔵版にはない楳図先生のトーク(25P分)が収録されています。
A5判258P
 また、金子デメリンさんがキャラクターの作画を担当した曽爾村(楳図かずお先生の出身地でもある奈良県北東部の村)の親善大使「そーちゃん&にーちゃん」のマッチもお取り扱いしております。¥100(こちらはいまのところ店頭のみのお取り扱いです)

いましろたかし「化け猫あんずちゃん」

いましろたかし 「化け猫あんずちゃん」 ¥590

 「デメキング」「ハード・コア」が再版されるなか、「ラララ劇場」「盆堀さん」と近作はますます脱力の極北を行くいましろさんの最新作が単行本化されました。
 子供向けコミック誌「コミックボンボン」に2006年から連載された異色作です。
海をのぞむ田舎のお寺・草成寺の和尚さんに拾われた猫・あんずちゃんが主人公。お寺でのんびり大事にそだてられ気がつけば32年も生き続け化け猫となっていたあんずちゃん。人とおしゃべりできて、気まぐれにマッサージのバイトに出かけたりする毎日。化け物とはいえ、もとが猫ゆえにその暮らしは気まぐれで気楽なもの…、友達を家に招いてみたものの、ただ食い散らかしてゲームに興じるばかりの連中に部屋を占領されて「あいつらつまんねーから、もう呼ばねー」なんて翌日、寝っころがりながらひとりごちる様子は、ほのぼのお気楽でいながら、お子様にはちょっとビターないましろ節がきいてますね!
B6判150P

きまぐれな輝きEX???

 11月18日に川崎タカオさんの半日店長イベントも無事に終了しました。
川崎作品の中にはマジシャンがよく登場しますが、川崎さんが、ここ10年、呑み屋などで披露して磨きをかけてきた唯一の持ち手品?コインマジックも披露されました。写真はコインを消した瞬間ですが、写真だと消えたんだか、腕をけがしたと言って見せているところなのか区別がつきません…ね…。でも確かに消してました! この目で見ました。

 さて、昨日から店内にある、川崎タカオさんのイラストですが、こちらは、今回の単行本「きまぐれな輝き」の原型ということで、実はこの日のために川崎さんが、いろいろな技を駆使してご用意してくださったものです。
 わら半紙みたいな紙に、灼けたような色をプリントしたり、精度の粗い印刷を復元してみたり…、地味に凝っているので、一見最初からそういうものなのか、とスルーしちゃいそうですが、セルフカヴァー作品と思って、目をこらしてみると、随所に小技がきいていて、ムムム!ときます。
 そんな職人的な凝り具合が川崎作品の魅力のひとつかと思いますので、店内の展示も新刊「きまぐれな輝き」とあわせてご堪能ください!
 引き続き、「きまぐれな輝き」をお取り扱いしておりますのでよろしく。