2006.04     トップへ

  by Ayumi NAKAYAMA

●06.04.30 切手とお茶
 最近、メールの時代ゆえに手紙や切手が乙女の間でひそかに注目されていますが、そんなオシャレな感覚ではなく、子供の頃、多くの小学生が趣味にしていたあの切手集めの感覚にそそられて、浅草の切手市に行ってきました。この道30年以上のベテランのおすすめで、まずは企画展示をじっくり見物。学級壁新聞や社会科の研究発表の形式で、コレクターたちが、切手とそれに関する資料、説明を自由にレイアウトして大きなパネルに入れて展示しているのです。レアなコレクションや海外文献や古い資料による解説もあれば、新聞広告の切り抜きや絵手紙などを大胆に貼り付けた、昨今のミニコミであまり見かけない、手工芸感覚な作品もあり、ついつい見入ってしまいます。
 中抜けして、山本タカトさんの展示をしている柳橋のルーサイト・ギャラリーのお茶席に。芸者・市丸ねえさんのお宅をそのまま使用したギャラリーは、玄関や手水場にも絵が置かれ圧巻でした。私は、お作法を全く知らないのに、順番でいちばん上座に案内していただいたため、人真似をしてごまかすこともできず、お茶をたててくれる芸者さんに尋ねながら抹茶とお菓子をいただきました。まったくの不作法に、花柳ならぬ下流な空気が漂い、汗顔の至りというやつでした。
 しかしその恥ずかしさもすぐに忘れて、再び切手市に戻り、一枚10円、20円の世界に地道をあげるのでした。

●06.04.29 家内工業製品
 西岡兄妹家内工業製品フェア5の展示がはじまりました。今回はいろいろな家内工業製品が揃いました。少数の生産なので、お値段を一般雑貨なみに設定できないのは申し訳ないのですが、絵を描きおろし、布も直接選び、刷りの職人さん、製本の職人さんといろいろな方の手を経てできたものなので、そのようになりました。確かな仕事のものですので、長い間楽しんでいただけると思います。

●06.04.24 都会に生きる
 パルコのタカノ綾さんの個展「都会犬」を見ました。タコシェでも真珠子さんの展示をしていて、女の子がモチーフなのは共通していますが、真珠子さんの女の子が空想や妄想の純度が高いのに対して、タカノさんのイラストに登場する女の子はタイトル通り、ファンシーでいながら都会の様々な記号やタッチが集まった印象。都会の女の子の成分って…そしてその都会の女の子が年をとったら…。私は今、「やる気まんまん」フェアや春川ナミオ先生の展示の準備もしているので、オットセイやお尻が成分にたくさん含まれています。

●06.04.22 オフ会と鳥の巣
 真珠子さんの来店アワーに続いて、場所を移して真珠子さん主催のオフ会。いったい、だんな方々が真珠子さんのファンで、どこで何をするのか??という興味から私もまぜてもらいました。セーラー服姿の真珠子さんに引率されて20人くらいで電車移動。予約していたレストランで会食しました。奔放、無邪気な作風の真珠子さんが、もてなし上手の幹事さんとなり、参加者を紹介したり、お手製の景品が当たるくじ引きを用意するなど場を和やかにし、同じテーブルの人たちと、日比谷の古い建築物のことからオーラのことまでお話を楽しめて解散のときは「えー、もう終わり?」な気分になりました。
 帰りにちょっと、武蔵野市立吉祥寺美術館に寄って、鈴木まもるさんの鳥の巣コレクションとイラストを見ましたが、鳥の巣もいろいろ、フェルトみたいに気持ちよさげな巣もあって。鳥の巣づくりには蜘蛛の巣の糸重宝されていて、蝶々や羽虫には迷惑な巣も鳥にとってはなくてはならない建材であること、蜘蛛の巣の大切さを思い知らされました。鳥の巣を見て蜘蛛の大事さを学びました。

●06.04.20 今日という日を大切に…
 気がつくと床に寝ていたり机の前で船をこいでいる、だらしない日々。お風呂の入るのも朝だったり夜だったりで、着替えるときもばらばらです。部屋であわてて着替えたとき、ソファに上着を脱ぎ捨てながら、誰が入ってくる部屋というわけではないけど、パンツだけは脱ぎ捨てるのが憚られ、洗濯したときのように畳んで置いたまま、洗濯機に入れるのを忘れて出かけました。電車の中で、「しまった、ソファの上に洗濯してないパンツが、パンツだけが置かれたままだ」と思い、移動しながらも、部屋に置いてきたパンツに後ろ髪をひかれます。もし、このまま交通事故にでもあって、万が一のことがあれば、私の遺品に脱いだままのパンツがエントリーするでしょう。虎は死んで皮をのこす、と言いますが、私はパンツ。虎の足もとにもおよびません。おそらく、葬式が終わって一段落した後、母がパンツを見つけます。一見、洗濯したもののようでも、まる一日履いたものは、どこか違います。「おや、洗濯物? パンツだけ?」。母親はそこに私のダイイングメッセージを読みとろうとするでしょうか。それとも、無造作にゴミ箱に放り込まれるのでしょうか。そうして、初七日を迎え、母が弟に言います。「お姉ちゃん、脱いだパンツをソファの上に置いたままにしていたよ」。すると弟は「あいつらしいな…」と頷くのです。
 そんなことがあってはならないと強くうち消し、今日という日、事故に遭わないように、注意深く過ごそうと思うのでした。やらなくてはならないことがたくさんありながら、脱いだパンツにも心を砕いて生活しなくてはならないので日々の暮らしはたいへんです。

●06.04.16 池袋モンパルナスと中央線沿線
 目白のポポタムにきのこカフェを覗きに。目白も含め、かつて池袋周辺は、熊谷守一、武井武雄、野見山暁治、丸木俊、北川民次など多くの画家たちが住み、池袋モンパルナスと称されています。そのガイドブック「池袋モンパルナスそぞろ歩き」がポポタムにありました。かつては馬込や田端あたりに文士村があったし、芸術分野のみならず同業者が集中した地域(稲荷町の仏壇屋地帯みたいに)があちこちにありましたが、ネットや電話もない時代は、そうやって同士や同業者が集まって情報交換したり、通信・交通の効率化をはかっていたのかもしれません。
 今は交通・通信の発展のおかげで土地に縛られることが少なくなったけど、高円寺のPAL商店街の先には若い店主たちの古着屋さん地域があったり、ミュージシャンが多く住んでいたりして、中央線沿線にはヒルズみたいな大規模開発とは違った自然発生的な地縁があって人が集まったり発展しているような気がします。街歩き系の雑誌で中央線が何か特別な味のあるエリアとして特集されやすいのも、そんなところに理由があるのかもしれませんね。
 夜、その中央線沿線にライブを聴きにゆきました。高田渡さんのカバーが何曲か歌われました。はやいもので今日がちょうど一周忌なのでした。

●06.04.15 考えない人、それは私
 フランス語では、会話の途中にちょっと気まずい間があくことをun ange passe(天使が通る)と言います。お店という舞台設定の中で店員という役割が決まっていれば私も会話をしやすいのですが、その場を離れフリートークとなった場合、私の周りにはおおぜいの天使が舞い降ります。最近、弟とその赤ん坊と一緒にいたとき、日頃は非常に社交的な弟と言葉を解さない赤ん坊の間に天使が通るのを見ました。小さな子供や動物といると歌ったりはしゃいだりで忙しい私にはちょっと意外でした。動物好きな私は非言語コミュニケーションが楽しいのかもしれません。外でカラスが鳴いていても、三度下の音を出してハモったり、カラスの首を傾げさせて嬉しがっている始末です。最近、「物を考えているようで考えてない!思いつき発言が多い」と人に指摘され、(そうでもないよ〜考えているよ)と思っていたのですが、言語化の不得手、論理性のなさが、脈絡ない思いつき会話に帰結していたのではなかろうかと思い当たりました。論理性のない考えは、考えというより空想でした。本を読むのも日記を書くのも、言語化が不得意な私には大事なことでした。人間、やはり、はじめに言葉ありき、でございます。さぼらず日記を書いて精進したいです。
 では非言語コミュニケーションを円滑にするにはどうしたらよいかと考えたとき、相撲とか柔道といった格闘技の効能がそんなところにもあるように思えてきました。これまで私は格闘技は国が軍隊を持つように、イジメ防止、痴漢対策にも効果がある武力アップのためにやると思っていましたが、相手と直に組んで呼吸や動きを読みながら自分の動きを繰り出すって、すごい非言語コミュニケーションの鍛錬だと気づきました。バイオレントな印象だった格闘技にポジティヴな効能を見出しました。特に、礼にはじまり礼に終わる国技・相撲はもっと見直されるべきだと思いました。英語だけじゃなく相撲も小学校の授業に! 先生と生徒がまわし一つでぶつかりあえば、学級崩壊も崩壊するかもしれません。

●06.04.12 案内されたいポップカルチャー
 googleが巨大な辞書として、あるいはアーカイヴとして機能している現在、情報誌的なお手軽な映画や音楽、本のレビューの有り難みは薄れつつあります。もっともプレスシートを参照して、粗筋や成立背景を紹介するだけで原稿料を貰ってたのが間違いだったのかも。でも、やっぱり、それ相応の書き手や識者に本や映画を紹介してもらえるのは楽しい…、ってことを久々に実感したのが「ポップ・カルチャー年鑑2006」。30年あるいは40年といった人生を通して吸収されたポップカルチャーのへヴィウォッチャーや中毒者が、検索エンジンとは違った回路で、一冊の本やCDを、30年分40年分のデータをコーディネイトしながら語り、10ナン年前のあの人や20ナン年前のあの作品と結びつけて脳内で拡張されてゆくそのグルーヴ。ナビゲーターは川勝正幸+下井草秀の文化デリックとゲストの皆さんデス。

●06.04.10 春川ナミオ先生
 6月には春川ナミオ先生の展示を予定しています。春川ナミオさんは、人間山脈と喩えるような巨大でかつ美しい貴婦人とそのお尻に埋没する男の至福を描くお尻イラストのオリジネーターです。高校生の頃、奇譚クラブを手にしたのを機に、それまで自分の中にもやもやとわき出ていた名付け得ぬ欲望を描き、投稿を開始。ほどなくそれが編集者の目にとまり、SM誌に挿絵を描くようになりました。以来、一貫して、貴婦人のお尻を仰ぎ見て、その下敷きとなる男の悦びを、顔面騎乗、お馬さんプレイなど様々なヴァリエーションで描くお尻変奏曲を奏でてきたのです。
 自らの内なる声に忠実に描くナミオ先生は私にとって真のアーティストです。先生はいつも、貴婦人のお尻を描ける喜びに感謝する一方で、自分の好きなものを今以上に美しく忠実に描きたいとおっしゃいます。そのために、かならず前作を超える作品を描こうという意識を持って努力を惜しまずにいらっしゃる。しかし、お尻の美と崇高さは遙か頭上にあり、高貴なお尻を描写することに決して終わりはないのだそうです。
 先生の展覧会をお尻を持つすべての人に捧げます。

●06.04.08 真珠子さん
 真珠子さんの展示『日曜ショック』初日にして来店日。真珠子さんが、今回の展示に間に合うようにたちあげた独自ブランド「ゆめのまきまき」(糸を紡ぐように夢を“まきまき”するイメージでつけられた名前らしい)も初お披露目。熟練の縫製職人さんの全面協力を得て、トートバッグやキャミソール、ハンケチなどを一から作り、シルクスクリーンで真珠子カラーを見事に再現した、真珠子プロジェクト「ゆめのまきまき」。
 タコシェはこれまで真珠子さんのカードやバッジを常備してきましたが、彼女のことを知らない人(おもに女子)でも、思わず「何これ!かわいーい」と言って買ってゆく、やばさとかわいさがあります。その魅力はこの機会に足を運んで観ていただくのが一番なのですが、あえて言葉で説明しようとすれば、「いけないことを知ってしまったヘンリー・ダガー」とでも申しましょうか。ロシア人の血をひいているのかと思える美しい容貌の真珠子さんは半日店長にセーラー服姿でいらして下さいました。

●06.04.06 布こもの第三弾
 真珠子さんのフェアの準備をしながら、次の西岡兄妹さんの準備も綱渡り状態で進んでいます。最近では、西岡さんのオリジナルのグッズに加えて、普段はお洋服を作っている、しまもりちひろさんの協力を得て、ブックカバーやトートバッグを作ってきました。今回は小さな袋もの、ポーチなど。布全面に散らしの模様を入れてみて作ります。しまもりさんの仕事はすごく丁寧で、縫い代とか糸の始末がきちっとしていて、丈夫さも十分考慮して力のかかる部分の縫製の念の入れようが見事なのです。さらに、今回、美術系の書籍やカタログなどの製本を手がける美篶堂さんにお願いして、職人さんの手による布ばりのノートも作ることになりました。私自身、できあがりが楽しみです!

●06.04.05 メモと整理
 辛酸なめ子さんにお願いして、引っ越しの荷物整理のついでに、様々な紙資料を出してもらいました。辛酸先生はメモ魔で、取材でなくても、何か目新しいものや、変わったものをみつけると、メモをとります。話を聞きながら、手元を見ずに質問したり観察しながら手のひらにおさまる小さなメモ帳に何やら書き付けているのです。気になっていたそのメモ帳もあって、まだ中身はよく見てないのですが、パラパラとめくったところ、解読不明な線でうめつくされていました…。たぶん話の記憶が残っているうちにメモを見て記憶と記録を補い合って正確な記述をするのでしょう。
 また、美大を受験する際のデッサンのポイントを几帳面に書き留めたメモ帳が残っていました。石膏像それぞれの描き方の注意点が書かれていて、たまに「最後までねばる」など受験心得も書かれていました。大人になってみれば、学校なんて行っても行かなくてもどっちでもいいや、と思えますが、受験を控えた高校生には、この一番に人生がかかっているくらいの深刻さがあります。メモをみていると辛酸先生もまぎれもなく受験生の一人で、細々と書き留めたメモに健気さを感じました。
 自ら廃墟とまで言った資料やメモやら何やらが山積みされた引っ越し風景は、受験の頃から変わらず積み重ねられた辛酸先生のメモと収集の痕跡のようで、荒涼としながらどこか健気に見えるのでした。(物をため込む癖については人のことを言えないのですが。街で見たフリペ、チラシ、ティッシュ…何でも鞄に入れてます)
 貴重なドキュメントをどういう形で皆様にお見せするか…、今後の課題です。

●06.04.04 活動報告
 しばらく日記をさぼっていたので、最近のイベントなどの進み具合をご報告しておきます。
 まず、西岡兄妹さんの布グッズを急ピッチで準備中。ようやく布が一部できあがり、これから縫製に入ります。布はこのために西岡千晶さんに絵柄を考えていただいたのでオリジナルですよ。4月29日に間に合うよう…って頑張ります!(って縫うのは私じゃないのですが…)。
 貴婦人のお尻を描き続けるイラストレーター春川ナミオ先生の展示と図録の用意をしています。図録はコンパクトで楽しいものになります。
 それから辛酸なめ子さん(こと池松江美さん)の展示を行う予定です。池松さんの作品展示というより、池松さんそのものにスポットをあてた人物展のような、これまでのタコシェの展示とちょっと違った趣向のものにしたいと、メモ魔であり、蒐集魔の池松さんから、資料をお借りしてるところです。
 あ、それからショッピングカートの容量に限界があるので、より大きくできるよう、今、お引っ越しの最中です。そういうわけで、もう少ししたら、たくさん便利にお買い物していただけるようにしますので、よろしくお願いします。
 ほかにもありますが、追ってお知らせいたします。

●06.04.03 忘れられない歌声
 一昨年、ミニライブでいくつかのカバー曲を聴いた松倉如子さんの歌をまた聴きたくなってお店が終わるや、吉祥寺の曼茶羅に直行した。あの頃は京都の学生だった松倉さんも昨年卒業して、歌手を目指して上京、今はライブ活動をしている。どうしたら歌手になれるかわからないけど、へたな戦略など持たずにひたすら自分で歩き、考え、歌いながら、歌手を目指す様子をブログで読んでいたら、むしょうに歌声を聞きたくなってしまった。歌うように話をして、話すように歌い、いくつもの声の色を持っていて、人間の体からこんなにも豊かに自然に声が出てくるのかと、聴いていて気持ちよくなります。オリジナル曲もいっぱい増えていました。松倉さんは来月もまた曼茶羅でライブやります。

●06.04.02 松梨智子監督@タコシェ
 4月8日から公開の『映画監督になる方法』のキャンペーンで松梨智子監督が映画の中のいちごの着ぐるみをかぶってお店の前でチラシ撒きをしてくれました。松梨さんとは彼女の長編第一作『毒婦マチルダ』のDVDお取り扱いを機におつきあいが始まりました。当時は監督自らが売り歩くことも多く、映画秘宝のオールナイトイベントにタコシェが出店する際には、一人の店番が心細いので、松梨さんを誘って映画館で徹夜で売り子をしました。バイタリティある松梨監督は、忙しい中、笑顔でやってきて差し入れ弁当をモリモリたいらげ、元気に自作DVD の売り子をしたり、飛び入りゲストとして舞台に出たりで大活躍でした。今回も、日曜日をのんびりすごすご家族連れやカップルの前にいちごのかぶり物で登場し、時には寒風に吹かれながらも、笑顔をふりまいていました。松梨監督の最高傑作との評判も聞こえる最新作、応援します!

●06.04.01 春ですねー
 年度がかわったので心機一転。また日記をつけることにしました。中野の桜もちょうど見頃です。タコシェにも新しい店員が入り、これまで一緒に働いてくれた店員の中沢さんとはもうじきお別れです。春ですねー。


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